現代生物ゼミナール(報告)2021年12月10日
2021年12月10日 兵庫県生物部会と共同で人と自然の博物館のホールにて、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 准教授 宮沢孝幸氏にご講演いただきました。
新型コロナウイルスに関するお話の中では、
「ウイルスに関する正しい知識を身につけて、経済と両立した感染対策を行うべきだ」
ということを繰り返しおっしゃられていました。
例えば、「ウイルスのRNAが検出された」ことと「ウイルス感染の成立」とは全く別である、などです
また、「動物からヒトへウイルスが感染することから、動物が持つウイルスの研究により、ヒトが今後感染するであろうウイルスを予測していく時代に向かうことが大切だ」という言葉が特に印象的でした。
また、ウイルスと哺乳類の進化の関係に関するご講演では、
「ウイルス由来の酵素が哺乳類の初期発生時の着床に働いていることから、当時のウイルスの感染が胚の着床の効率を上げ、哺乳類の進化に関係している」という内容でした。
宮沢准教授のパワフルな話し方とインパクトのある言葉選び、そして、進化とレトロウイルスの関係など、非常に興味深い講演会となりました。
ご多忙の中、遠くから足を運んでいただき、ありがとうございました。
後半は、県立人と自然の博物館の竹中敏浩先生に博物館の成り立ちや役割についてお話していただきました。
現在では、収蔵品の活用の在り方が研究と次世代のための保管と保存だけでなく、一般市民へも開放し、学習活動にも活用すべきであるとの考え方に変わってきたことについてお話していただきました。
「魅せる収蔵庫」の展示だけでなく、教員個人のサインで借りることのできる収蔵庫の活用が推進されるようになったとのお話があり、来場者に対してどうぞ活用してほしいとのお話がありました。
また、日本でも最大規模の収蔵品があることから、上記の考え方に則った形の収蔵館を建設中とのお話がありました。
兵庫県だけでなく、日本を代表する博物館を実感しました。